お魚は健康食!お魚を毎日食べましょう!

鱈

たら

分 類:タラ目タラ科マダラ属
生息域:大陸棚周辺北緯37度以北の北太平洋、朝鮮半島から北米カリフォルニア州サンタモニカ湾まで

学 名:Gadus macrocephalus 英 名:Pacific cod

世界中の海洋国で食文化をもつ魚。厳寒期の味わいは、また格別。

体長は1m、体重20kgにもなるものもいます。体は前腹部が大きく張り出し、体色は体側背部が褐色で不定形の暗色斑が散在し、腹部は白色。この背部の模様から「まだら」と呼ばれるという説もあります。単に「たら」というと「まだら」を指します。「たら」は雑食性で貪欲なため何でも食べるところから、「たらふく食う」は、文字通り「たら」の腹のようになるまで食べる様子を表わしています。
日本近海での産卵期は冬から春で、東北沿岸は12~2月、北海道東岸で1~3月。旬は産卵期と重なり冬で、魚へんに雪と書くのは、初雪の後に獲れ出すからともいわれ、寒くなるほど美味しくなるといわれます。白身の魚で淡白な味わいの中にも旨味があり、獲れたばかりの「たら」の身は刺身にすると格別ですが、鮮度低下が早く一般には食せません。鮮度落ちが早いのは、身肉の水分量が83%もあるためで、「たい」の約73%やその他の魚と比べても格段に多く含んでいます。
「すけとうだら」は、1970年代までは日本の漁獲量の3分の1ほどを占める魚で、身は干しだらや蒲鉾および魚肉ソーセージなどの練り製品の材料でした。現在では漁獲量が減り、「たらこ」・「明太子」の原料の多くは、アラスカやロシアから冷凍で輸入されています。

「たら」は世界中のどこの海洋国においても人間との深い関わりと食文化をもつ、国際性豊かな魚といえます。日本でも関東以北では古くから寒い時期の鮮魚としてもっとも重要な水産資源とされてきました。現在ではアメリカなどからも輸入され、生、塩蔵、フィレなどさまざまな形態で加工されています。
フィレは「ぶわたら」と呼ばれます。その「ぶわたら」に一塩して塩蔵したものが「塩ぶわたら(塩ぶわ)」で、塩をしない「ぶわたら」を「生ぶわ」と呼んでいます。「塩ぶわ」は関東では湯豆腐につきもの。寒い時期の汁物や鍋材料には欠かせない存在だそうです。
淡白な味は和食だけでなく洋食にもあいます。鮮度の良いものは身崩れするので昆布締めに。煮つけやフライ、塩焼き、潮汁、蒸し物、ムニエル、粕漬けなどは、味にコクが出て美味。フランスやスペインなどでは同属の「タイセイヨウマダラ」を干した乾物を“バカラ”とよびさまざまな料理に使っています。イギリスではフィッシュ&チップスに、アメリカではハンバーガーに挟んで食べられる、まさに世界中で愛される魚です。
低脂肪であることが生活習慣病予防にぴったりなため、病院給食などでもよく利用される魚です。また、消化・吸収の際に胃腸に負担をかけないので、離乳食や高齢者向けの食事にも向いています。

国内での分布は狭いためか、地方名が少なく、「イソダラ」、「ネダラ」は近海に定着する「たら」をさし、「オキダラ」、「トオリダラ」は繁殖期だけ近海に回遊する「たら」をいいます。

「たら」本体よりも価値が高いのが白子(精巣)。白子は常に高級品で、これも輸入されています。「たら」の価値は「白子」の有無で決まり、「白子」は未成熟のものよりも成熟して白いものが価値が高いとされます。生食や、鍋物にも利用されます。

メスのお腹から取り出されたばかりの真子(卵巣)は「生たらこ」と呼ばれます。一般に出回る「たらこ」は、「たら」ではなく「すけとうだら」の塩蔵品です。「たら」の卵巣は「すけとうだら」のものよりも味は劣るといわれますが、煮つけ、和え物、和え焼き、しょう油漬けなどで食べると美味。

肝臓からは「肝油」、胆嚢からは消化薬の原料、ウキブクロからはニカワなどが採れ、広範囲に利用されます。「たら」の内臓と背骨を取り除いて、干したものに「棒だら」があります。鮮度落ちの早い「たら」を流通させるために、古くから加工されてきた保存食です。何日も掛け水に浸し水を取り替えながら戻し、十分にやわらかくなってから、旨煮・甘露煮・煮魚などに調理されます。エビイモと炊き合わせた“芋棒”は、伝統的な京料理として知られます。

おさかなセールスポイント

  1. ●和食・洋食・中華などお料理万能なお魚です!
  2. ●焼物、煮物、フライなどお料理万能なお魚です!
  3. ●離乳食にもいいですよ!
  4. ●魚が苦手でも、この魚は食べやすい!
  5. ●冬の味覚「魚ちり」には欠かせません!

出回り時期

一年中出回っていますが、寒くなると入荷が増えます。輸入ものも多く、流通している形態は生、塩蔵、フィレなどさまざまです。鮮魚ではオスの方が高く、メスと分けて入荷されます。また大きなものが高価ですが、小振りのものも鍋材料として人気があります。寒い時期には鍋物材料として需要も高まる時期でもあります。

「たらこ」も塩蔵品として一年中流通しています。「棒だら」は11月に初セリがおこなわれます。

栄養&機能性

特にたんぱく質が豊富ながら脂肪が少ない高たんぱく低カロリーな白身魚ですので、ダイエット時の食事や病院給食などにもオススメです。しかも、不足しがちなカルシウムやリンの吸収を高めるビタミンDを含む嬉しい食材。また、女性がなりやすい骨粗しょう症の予防に効果のある、リンも多く含み、カリウム、カルシウムなどのミネラルをバランス良く含みます。さらに、旨味成分のイノシン酸やグルタミン酸が豊富なため、淡白ながらとても美味しい魚です。

たらの食品標準成分表

おいしい魚介の選び方

目が澄んで、しっかり張りのあるものを。切り身は透明感があり、張りのあるものを。

丸まま一尾を選ぶ際には、触ってしっかり張りのあるもの。目が澄んでいてエラが鮮紅色のもの。甘塩、冷凍など様々な形で流通していますが、寒い時期の生はクセがなく旨味が豊富です。
切り身を選ぶ場合、皮が白っぽくなっていないもの。全体的に透明感があり、張りのあるものを。切り口の角が丸くなっているものは避け、切り口の角がしっかり立っているものを選びましょう。真っ白いものより、ほのかなピンク色をしていて血合いの部分が鮮やかな紅色のものが新鮮です。トレイなどに水気の出ていない、切りたてのものを選びましょう。「たら」は鮮度が落ちるのが早い魚です。古くなると臭いが立ちやすいので、可能であればあわせてチェックを。

「たらこ」は、一般的に流通しているものは塩漬け加工されたものがほとんどで、ふっくらとしていて形が良く、皮が破れていないもの、食べるとツブツブした食感のあるものが良いでしょう。ときどき表面に暗緑色のしみが見受けられますが、「すけとうだら」の胆汁です。

お料理・活用方法

脂肪分が少なく消化も良いのでご年配向けの食事から離乳食まで活用できます

厳寒期が美味とされます。脂肪分が少なく、お年寄りや胃腸の弱い方にも無理なく食べることができる「たら」は肉自体、繊維たんぱくが大半を占めるためにほぐれやすく、加熱してもかたくならない消化の良い食材です。白身で特有の光沢があり、淡白な味は和食だけでなく洋風料理にも合います。調理方法や食べ方も多種多様で、煮つけやフライ、塩焼き、潮汁、蒸し物、ムニエル、香草焼き、粕漬けなどは味にコクが出て美味しく召し上がれます。鮮度の良いものは身崩れするので昆布締めにするのもオススメです。
「たら」のフライは、非常にやわらかくて豊潤、甘味があって美味。ホイルにキノコや茹でたジャガイモ、スライスしたタマネギ、たっぷりのバターとホイル焼きなどにしても美味。バターのほかにマヨネーズ、白ワイン、日本酒を使っても相性が良いです。「たら」の“ほお”は単体でも流通していて、“ほお”の唐揚げなどもあります。食感が強くて噛みしめるとジューシーで美味。
「たらちり(鱈ちり)」は、ぶつ切りにした「たら」の身と野菜を昆布出汁で煮ながら食べます。ポン酢や生じょう油をつけながら食べるのが一般的で、関東に限らず、「たら」のもっとも基本的な食べ方といえるでしょう。
「たら」の身はとてもやわらかいので長時間煮込んでもかたくなりませんが、非常に身割れしやすい魚ですので、「たらちり」などの鍋料理に使う場合は、あまり煮込まない方がオススメです。

「たら」の“どんがら汁”(“寒だら汁”とも。青森県では“じゃっぱ汁”)の“どんがら”もしくは“がら”は山形県、新潟県で魚の中骨やあら、内臓のこと。これを青森県では“じゃっぱ”というそうです。『身よりもうまいどんがら』という言葉もあるようです。山形県、青森県などでつくられるもので、“どんがら”を水から煮出して、山形県では基本的に味噌で味つけします。しょう油・塩仕立ての地域もあるようです。
塩蔵した「たら」のフィレを「しおぶわ(ぶわたら)」と呼び、関東では湯豆腐には「ぶわたら」を入れるのが定番です。居酒屋などでも食せる庶民的な味わいで、一般家庭でも食されています。
京都では伝統料理として、「たら」の乾物、「棒だら」を戻して、エビイモと炊き合わせた“芋棒”が有名です。

イギリスでいえばフィッシュ・アンド・チップスのような揚げ物、スペインなどでは“バカラ”などの塩蔵品などがあります。また、胃(韓国料理の食材チャンジャ)、舌(ノルウェー料理の食材。ムニエルにして食す)なども食材として用いられています。

「まだら子(たらの卵巣)」を適宜に切り薄味で煮た、「まだら子」の煮つけなどもあります。「すけとうだら」の「たらこ」と比べると卵粒が粗いですが味はとても美味。
「たら」の白子(精巣)は「ふぐ」と並んで高価ですが、鮮度のよいものは三杯酢で食べたり、鍋物にも利用されます。

一般的に「たらこ」とは塩漬けにされたもので、そのまま食べるほか、加熱して焼きたらことしたり、おにぎりやお茶漬けの具などにしても食されます。
また、そのまま食べるだけでなく、中身を取りだしてほぐし、炒め物やパスタ、煮物、和え物にも使われる人気の食材でもあります。マヨネーズやドレッシングと中身を混ぜて、味のアクセントに使うのも良いですね。焼いてから冷蔵保存・冷凍保存しておくと、おにぎりやお茶漬けに重宝します。

お店・ご家庭のレシピに加えてください! 美味しい食し方をご紹介

① 生食 刺身、寿司
② 焼物 塩焼き、ソテー、ムニエルなど
③ 煮物 旨煮、甘露煮、煮魚、芋棒(京都)、しょう油煮、味噌煮
④ 汁物 湯豆腐、どんがら汁(山形・新潟)、じゃっぱ汁(青森)
⑤ 油料理 フライ、アクアパッツァなど
⑥ その他の料理 たらおさ(胃袋)の煮もの(福岡・大分)
⑦ 加工品 漬け魚(味噌漬け、醤油漬け、粕漬け)、蒲鉾・魚肉ソーセージ、チャンジャ(韓国)

ご家庭でも簡単!余った「たら」を賢く保存して、美味しく食べよう!

「たら」は切り身で購入しても、かなりの量があるのではないのでしょうか。お店の仕入れでも、ご家庭でも使い切れない時って出てきますよね。逆に、その残ってしまった「たら」を利用して、美味しく、賢く保存して、美味しいメニューに変えてしまうのも良いのではないでしょうか。特に切り身の場合は傷みやすいので「多いかな〜?」と思う時には、すぐに試してみてください。買ってきたトレイに入れたままの状態での冷凍保存などは厳禁です!!
ここでは、残った場合の「たら」の上手な保存方法をご紹介します。もちろん、残ったものでなくても、普段のお料理の下ごしらえとしても活用してみてください。

①忙しい時にお役立ち!下ごしらえをすませた冷凍「たら」を保存
切り身に薄塩をし、30〜60分ほど置く。出てきた水分を拭き取り、一切れずつラップに包む。アルミバットなどに入れて急速冷凍し、冷凍できれば冷凍用パックなどに入れて重ならないように保存してください。
フライなどに使う場合は、軽く解凍してフライの衣を付ければ揚げるだけで手間なく調理できます。「たら」は脂肪分が少ないので、フライにしてもカロリー控えめ。衣にチーズやパセリなどを混ぜておけば、ソースいらずで冷めても美味しく召し上がれますよ。お弁当のおかずにもオススメです!

②冷凍保存にするなら“味噌漬け”、“粕漬け”で美味しさ長持ち

切り身に軽く塩を振ります。冷蔵庫でしばらく置き、水分を拭き取り、ラップに粕床や味噌床を塗り、その上に切り身をのせて、さらに粕床、味噌床をまんべんなく塗ってラップで包みます。塗り忘れの部分がないように注意してください。あとは、重ならないように冷凍用パックに入れて冷凍庫で保存します。解凍する場合は、冷蔵室内で解凍し、粕床、味噌床を取り除き調理に使用してください。保存も1〜2週間可能になります。

上記のほかにも、買ってきた際にすぐに薄塩をして余分な水分を除いてから下ごしらえをしておけば、さまざまなお料理に使いやすいので、ぜひお試しください。

関連品・加工品紹介

  • 塩たら

    「たら」は、日本をはじめヨーロッパやアメリカ大陸でも重要なたんぱく源として人々の暮らしを支えてきました。脂肪分が少なく高たんぱくなので、ヘルシーな食材です。ただ、「たら」は鮮度管理が難しい魚でもあります。そのため昔から主として「塩たら」がつくられてきました。

    「塩たら」のページを参照する

  • 開干たら

    「たら」を腹から開いて頭を落とし、内臓を取り除いて天日干ししたものです。「塩たら」や「棒だら」同様に、「たら」の保存性を高める加工品として古くから流通してきました。特に、海に面していない山間部などの地域にとっては、大切なたんぱく源のひとつとなっていました。

    「開干たら」のページを参照する

  • 棒だら

    「棒だら」とは、「たら」の干物のことです。「たら」は、生の状態では日持ちせず、冷凍技術が発達していない時代、干物に加工して流通させることが一番合理的な方法でした。「棒だら」の“芋棒”は京都の伝統料理で、関西では「棒だら」の煮物はおせち料理に欠かせない一品です。

    「棒だら」のページを参照する

  • 白子

    「たら」本体よりも価値が高いのが白子(精巣)。「白子」は常に高級品で、これも輸入されています。「たら」の価値は白子のあるなしで決まり、白子は未成熟のものよりも成熟して白いものが価値が高いです。生食や、鍋物にも利用されます。

    「白子」のページを参照する

  • たらこ

    真子(卵巣)は「生たらこ」と呼ばれ、一般に出回る「たらこ」は、「すけとうだら」の塩蔵品。塩漬けにしたものを食べるほか、焼きたらことしたり、おにぎりやお茶漬けの具として人気が高いです。また、卵粒を覆う薄皮をほぐし、お料理のアクセントとしても使用されます。ふりかけやマヨネーズと和えたもの、パスタなどに絡めて食べるものなど、調理済み食品として流通しているものもあります。

    「たらこ」のページを参照する

  • 辛子明太子

    「辛子明太子」は、塩漬けしたものを、辛みを付けた調味液に漬けて加工した「たらこ」のことです。今では福岡・博多の特産品として知られています。

    「たらこ」のページを参照する




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